謎多き剣士 |
呪われし魔装具「暗黒の剣」を手に、ミラへの谷でセリカ一行に襲い掛かって来るブライ。自身の持ち運がゼロにも係わらず、魔剣の呪縛を恐れずに立ち向かって来るその姿は、多くのプレイヤーに強い印象を残した。 そんな豪胆剣士ブライ。ところで彼は、一体何者なのだろうか。
当サイトでは便宜上「リゲルの剣士」として扱っているが、それを示す確証は実はどこにも無い。取扱説明書にも公式本にも、彼の所属を明らかにする記述は一切無い。また、ストーリー中においても、本人のセリフは一言も無く、また他人の口から語られる事も全く無い謎の人物。 数少ない手掛かりから彼の身分を推測する。 |
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正規兵説 |
ブライが登場する時点において存在する勢力は「リゲル」「ソフィア」「ギース」の3つ。そのいずれかに所属する正規兵なのではないか。 ソフィア王国に属するセリカを攻撃しているため、ソフィア内の敵対勢力として、対象は自ずとドゼー軍に絞られる。しかしこの時のドゼー軍の版図はアルム方面のみに縮小しているため、ブライがドゼー軍所属である可能性は極めて低い。 当時の勢力分布からギース所属も有り得る話。だがギース軍の特徴として、部隊に「盗賊」の居るケースが多いことから、盗賊の居ないブライ隊をギース所属とする決め手に欠ける。 「ミラへの谷」に布陣している事を、セリカ軍のミラ神殿行きの妨害行為として捉えれば、リゲル所属と考えるのが妥当。さらに『ファイアーエムブレム ザ・コンプリート』にもリゲル所属として紹介されている。ただしこの本ではギースもリゲル所属とするなど、信憑性の低い書籍であることに留意する必要はある。 |
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傭兵(用心棒)説 |
正規兵ではないものの、いずれかの勢力に雇われているのではないか。そもそも「剣士」が傭兵系統のクラスであり、プレイヤーの味方となる傭兵と剣士は、全員「傭兵」を生業としていることから、ブライもまた傭兵をしていた可能性はかなり高い。 所属については、前節の正規兵説がそのまま当てはまる。ブライ隊のマップ上のポジションから、リゲル帝国というより、神殿を守備するミカエラの権限で現地雇用されたのかも知れない。 同じく剣士のディーンや魔道士ソニアを雇い入れるなど、ギースは実力者を用心棒として使う実績があるため、ギースが雇用主と考えられなくもない。しかしブライのいる位置はギースの勢力圏ではあるが、本拠地とは遥かに離れた場所。もしギース所属となると、完全に孤立している格好。 |
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野盗説 |
どの勢力とも係わり合いの無い、ブライ個人の独立部隊という可能性もある。ミラ神殿へ赴く巡礼者を重点的に襲っていたのなら、ブライ隊がかの地に陣取っていた理由も納得が行く。さしずめブライ盗賊団か。 しかしバレンシア大陸中の盗賊を統括しているギースが睨みを利かせる中で、魔戦士・ギースの実力に及ばない彼が、果たして独自に盗賊行動を働くことは出来たのだろうか。しかもそのギースのお膝元で、という点に疑問は残る。 |
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一匹狼説 |
ミラへの谷の戦闘時の陣形を良く見ると、回復の床の周辺に居た部隊とは全く関係の無い、一匹狼にも見える。つまりブライとは無関係の部隊がセリカ軍と交戦している所へ、はぐれ剣士・ブライがたまたま通りかかり、漁夫の利とばかりに参戦したという構図。 しかし、確かに陣形から一匹狼の様に見えなくもないが、フィールドマップ上ではしっかりとリーダーとして表示されているためこの可能性は無く、これは明らかにブライの率いる部隊。似たような立ち位置の「ラムの谷」の傭兵とは大きく異なる。 |
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剣士は死して剣を残す |
以上の大雑把な推測から導き出される一応の結論としては、「リゲル帝国に雇われた傭兵」という説が最も有力と考えられる。神殿内のミラ神の様子を窺おうとするセリカ一行に対して、神殿に近付けまいと手勢を率いてミラへの谷に布陣した。部下達と離れて、たった一人で別の場所に居たのは、挟撃作戦を目論んでいたのだろう。 残念ながら作戦は失敗し、相棒の「暗黒の剣」を残して戦死したブライ。大国同士の戦争の中で散っていった寡黙な剣士は、最期の瞬間まで沈黙を守ったままだった。 |
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記:2010年8月26日 |